世界のネイティブ広告費、今後3年間で倍増し約600億ドルに、日本市場も同じく倍増
世界各国のネイティブ広告費はどれくらいの規模で、今後どれくらい成長するのでしょうか。大雑把でいいから知りたいなと思っていると、つい最近、ネイティブ広告プラットフォームの大手事業者ADYOULIKEが、世界の主要国でのネイティブ広告費を予測していました。それによると、今年のネイティブ広告費は世界全体で309億ドルで、2018年には593.5億ドルに達すると予測しています。3年間でほぼ倍増ですから、すごい急成長ですね。身内のネイティブ広告プレイヤーの予測なので、少し割り引いて見たほうが良さそうですが、伸びるのは間違いないでしょう。
ただ、ネイティブ広告の市場と言っても、どれがネイティブ広告であるかという、共通の線引きが固まっていないのが現状です。米国の業界団体IABもネイティブ広告の範囲を定義していますが、そこでは検索連動広告もネイティブ広告に含むとしています。でも広告市場調査では、一般に検索広告をネイティブ広告から外しています。このため、ネイティブ広告の市場規模があいまいなままになっていました。それでもこれまで、比較的よく引用されていたのがBusiness Insiderが出していた次の図(図1)のグラフです。昨年の半ばあたりにから販売している有料資料の中で使っているグラフで、資料の販促のために何度も繰り返し、このグラフを載せた記事をBusiness Insiderが発信していたので、ご覧になった方もおられるでしょう。
図1 米国市場でのネイティブ広告売上高の予測。Business Insiderの調査より
これは、米国市場の予測です。今年が107億ドルで、3年後の2018年に210億ドルになると占っています。やはり3年で倍増です。この調査ではネイティブ広告のカテゴリーをSocial-native、Native display ads、それにSponsored contentと、3つに分類しています。米国のネイティブ広告では、BuzzFeed や The New York Timesなどの大手ニュースサイトが仕掛けるスポンサードコンテンツ(Sponsored content)が何かと話題になることが多いですが、市場規模はネイティブ広告売上全体の1割強近くに過ぎず、意外と大きくないです。それよりも、Facebookのニュースフィード広告やTwitterのプロモツイートなどが含まれるソーシャルネイティブ(Social-native)が、2015年の売上高で全体の7割以上も占め現段階では市場規模が圧倒的に大きいです。モバイルシフトが追い風になって、当然かもしれません。
ADYOULIKEの予測レポートでも、このBusiness Insider調査の他にPricewaterhouseCoopers, eMarketerそれに米 IABのデータを参考にして、世界の主要国のネイティブ広告費(2015年と2018年の予測値)をはじき出しています。その結果の一部を表1に、そのグラフを図2に示しました。米国市場の予測では、参考にしたBusiness Insiderと同じ値になっています。
表1 国別のネイティブ広告費。2015年と2018年の予測値。ADYOULIKEの調査より。単位は億ドル
図2 国別のネイティブ広告費の予測。単位は億ドル
日本市場のネイティブ広告費は今年が約22億ドルで、2018年には約44億ドルと、やはり3年間で倍増すると予測されています。どのような内訳になっているか知りたいですが、発表資料では細かい分析には触れていません。ともかく世界各国で、金太郎あめのように、ネイティブ広告の市場規模がこれからの3年間でほぼそろって倍増するという、威勢の良い予測です。
ADYOULIKEのCEOであるJulien Verdier氏は、「今年はネイティブ広告がデジタルメインストリームに乗った記念すべき年になった」と誇らしげに語っています。中でも、IABが公開したOpenRTB 2.3により、ネイティブ広告の自動取引が可能になってきたことが、ネイティブ広告市場を勢いづけているようです。
参考
- Native Advertising Set to Double by 2018(プレスリリース)
- Spending on native advertising is soaring as marketers and digital media publishers realize the benefits(Bisiness Insider)