データドリブンマーケティングとは?実践5ステップと活用事例|データ活用で成果を出す

2025年4月18日
マーケティング担当
マーケティング

「マーケティング施策、なんとなく勘や経験で決めてしまっている…」

「データは集めているけれど、どう活用すればいいのか分からない…」

「データを使って、もっと効果的なマーケティングがしたい!」

企業のマーケティング担当者の方なら、一度はこんな風に考えたことがあるのではないでしょうか?変化の激しい現代において、経験や勘だけに頼ったマーケティングには限界があります。そこで重要になるのが、データドリブンマーケティングという考え方です。

この記事では、「データドリブンマーケティングとは何か?」という基本から、その重要性、メリット、具体的な実践ステップ、そしてデータ活用の事例まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

この記事を読めば、データという羅針盤を手に入れ、マーケティング活動を成功へと導くための具体的な方法がわかります。

目次

 データドリブンマーケティングとは?【基本を理解する】

 定義:データに基づいて意思決定・施策実行するマーケティング手法

データドリブンマーケティング(Data-Driven Marketing)とは、収集・分析した顧客データや市場データなどの客観的な「データ」に基づいて、マーケティング戦略の立案、施策の実行、効果測定、改善といった意思決定を行うマーケティング手法のことです。「ドリブン(Driven)」は「~によって駆動される」という意味で、まさに「データによって動かされるマーケティング」と言えます。

 なぜ今、データドリブンマーケティングが重要なのか?

近年、データドリブンマーケティングの重要性がますます高まっています。その背景には、以下のような要因があります。

 市場環境の変化と競争激化: 顧客ニーズが多様化し、市場の変化も速いため、迅速かつ的確な判断が求められます。

 顧客行動の複雑化・デジタル化: スマートフォンやSNSの普及により、顧客の購買行動はオンライン・オフラインを横断し、複雑化しています。その行動データを捉え、理解することが不可欠になっています。

 テクノロジーの進化: 多様なデータを収集・蓄積・分析するためのツール(MA、CRM、BIツールなど)が進化し、以前よりもデータ活用に取り組みやすくなりました。

このような状況下で、データに基づかない勘や経験則だけのマーケティングでは、顧客の期待に応え、競争を勝ち抜くことが難しくなっているのです。

 経験や勘との違い・関係性 (データは経験を補強する)

データドリブンと聞くと、「経験や勘はもう不要なのか?」と思うかもしれませんが、そうではありません。長年の経験によって培われた知見や、そこから生まれる仮説は非常に重要です。

データドリブンマーケティングは、経験や勘を否定するものではなく、むしろそれらを「データによって裏付け、客観的な視点を加えて精度を高める」アプローチです。データ分析の結果が、経験豊富なマーケターの直感と一致することもあれば、全く新しい発見をもたらすこともあります。データと経験を融合させることで、より確かな意思決定が可能になるのです。

 データドリブンマーケティングの主なメリット

データドリブンマーケティングを実践することで、企業は様々なメリットを得ることができます。

 メリット1:マーケティング施策の精度向上と効果最大化

データ分析によって、どのチャネルが効果的か、どんなコンテンツが響くか、どのターゲット層にアプローチすべきかなどが明確になります。これにより、施策の「当たり外れ」を減らし、より確度の高いマーケティング活動を展開でき、効果の最大化につながります。

 メリット2:顧客理解の深化と顧客体験(CX)の向上

顧客の属性データ、行動データ、購買データなどを分析することで、「顧客が何を求めているのか」「どんなことに不満を感じているのか」といったインサイト(洞察)を得ることができます。顧客一人ひとりを深く理解し、ニーズに合った情報提供やコミュニケーションを行うことで、顧客満足度や顧客体験(CX: Customer Experience)を向上させることができます。

 メリット3:迅速な意思決定と変化への対応力強化

データに基づいて客観的な判断ができるため、施策の方向性や改善点を迅速に決定できます。市場の変化や顧客の反応をデータでいち早く捉え、柔軟に対応していくことが可能になります。

 メリット4:ROIの可視化と費用対効果の改善

各施策の効果をデータで測定することで、どの施策がどれくらいの成果(売上、リード獲得など)に貢献しているのか、投資対効果(ROI)がどうなっているのかを明確に把握できます。これにより、効果の低い施策への投資を減らし、効果の高い施策にリソースを集中させるなど、費用対効果の改善に繋げることができます。

 データドリブンマーケティング実践の5ステップ

では、実際にデータドリブンマーケティングを実践するには、どのようなステップを踏めば良いのでしょうか?ここでは基本的な5つのステップをご紹介します。

 ステップ1:目的と重要指標(KGI/KPI)の明確化

まず、「マーケティング活動を通じて最終的に何を達成したいのか」という目的(KGI: Key Goal Indicator / 重要目標達成指標)を明確に設定します。例えば、「半年後にWebサイト経由の売上を20%向上させる」などです。

次に、そのKGIを達成するための中間的な指標としてKPI(Key Performance Indicator / 重要業績評価指標)を設定します。例えば、「Webサイトの訪問者数を15%増やす」「問い合わせフォームからのコンバージョン率を5%改善する」といった具体的な指標です。目的とKPIが明確でなければ、どのデータを収集・分析すべきかが定まりません。

 ステップ2:必要なデータの収集と統合

設定したKPIを測定するために、必要なデータを収集します。Webサイトのアクセスログ、広告の配信結果データ、CRM(顧客関係管理)システムの顧客データ、SFA(営業支援システム)の商談データ、アンケート調査結果など、様々なデータソースが考えられます。

収集したデータは、形式がバラバラだったり、異なるシステムに分散していたりすることが多いため、分析しやすいようにデータを整理・統合するプロセスも重要になります。

 ステップ3:データの可視化と分析

収集・統合したデータを、グラフや表などを使って可視化します。データはそのままでは単なる数字の羅列ですが、可視化することで傾向やパターン、異常値などを発見しやすくなります。

そして、可視化されたデータをもとに分析を行い、課題の原因を探ったり、施策のヒントとなるインサイト(洞察)を抽出したりします。目的に応じた分析手法を用いることが重要です。(分析手法については後述します)

 ステップ4:分析結果に基づく施策の立案と実行

データ分析から得られたインサイトに基づき、具体的なマーケティング施策を立案します。例えば、「特定の属性を持つユーザー層の離脱率が高い」という分析結果が出れば、「その層に向けたコンテンツを改善する」「リターゲティング広告で再アプローチする」といった施策が考えられます。

立案した施策を実行に移します。

 ステップ5:効果測定と継続的な改善(PDCA)

実行した施策が、設定したKPIに対してどのような影響を与えたかを効果測定します。そして、その結果を評価し、改善点を見つけて次の施策(Plan)に繋げていきます。このPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを継続的に回していくことが、データドリブンマーケティングを成功させる上で非常に重要です。

 実践に役立つ!データ収集・分析ツールと手法

データドリブンマーケティングを効率的に進めるためには、適切なツールの活用が欠かせません。また、基本的な分析手法を知っておくことも役立ちます。

 データ収集ツール例

 Web解析ツール (例: Google Analytics 4): Webサイトやアプリ上のユーザー行動(アクセス数、流入経路、ページ遷移、コンバージョンなど)を計測・分析する基本ツール。

 CRM (顧客関係管理) / SFA (営業支援システム): 顧客情報、購買履歴、商談履歴、問い合わせ履歴などを一元管理するツール。顧客理解を深めるための重要なデータソース。

 MA (マーケティングオートメーション) ツール: リード情報管理、メールマーケティング、Webサイト行動追跡などを自動化・効率化するツール。リード育成段階でのデータ収集・活用に有効。

 広告プラットフォーム (例: Google広告, Yahoo!広告, 各種SNS広告, Ads Omniなど): 広告の表示回数、クリック数、コンバージョン数、費用対効果などの広告配信結果データを収集。

 データ分析ツール例

 BI (ビジネスインテリジェンス) ツール (例: Tableau, Looker Studio (旧Googleデータポータル)): 複数のデータソースを統合し、ダッシュボードなどで分かりやすく可視化・分析できるツール。専門的な知識がなくても比較的扱いやすい。

 スプレッドシート (例: Microsoft Excel, Google スプレッドシート): 基本的なデータ集計やグラフ作成が可能。手軽に始められるが、大量データの扱いや高度な分析には限界がある。

 統計解析ソフト (例: R, Python): より高度な統計分析や機械学習モデルの構築が可能。専門的なスキルが必要。

 統合型分析プラットフォーム (例: Audience Analytics): Web行動データだけでなく、様々なデータを統合し、高度な分析やインサイト抽出を支援するプラットフォーム。

 基本的な分析手法

 クロス集計: 複数の項目(例:年齢層×購入商品)を掛け合わせて集計し、属性ごとの傾向を分析する。

 セグメンテーション分析: 顧客を特定の属性や行動パターンに基づいてグループ(セグメント)分けし、各セグメントの特徴やニーズを分析する。

 ファネル分析: 顧客が目標(例:購入)に至るまでの各段階(認知→興味→比較検討→購入)での離脱率を分析し、ボトルネックとなっている箇所を特定する。

 コホート分析: 特定の共通項を持つユーザーグループ(コホート、例:〇月に登録したユーザー)の時間経過に伴う行動変化(例:継続率、LTV)を分析する。

これらのツールや手法を、自社の目的やリソースに合わせて選択・活用していくことが重要です。

 データドリブンマーケティングの成功事例から学ぶ

データドリブンなアプローチがどのように成果に繋がるのか、具体的な事例(架空のケースを含む)を見てみましょう。

 事例1:ECサイトにおける顧客行動データ分析からのCVR改善

あるアパレルECサイトでは、GA4でサイト内行動を分析したところ、特定のカテゴリページで多くのユーザーが商品詳細を見ずに離脱していることが判明。ヒートマップツールも併用し、そのページの導線や情報提示に問題があると仮説を立てた。ページのレイアウトや商品説明を改善し、A/Bテストを実施した結果、離脱率が低下し、カート投入率・CVRが向上した。

 事例2:BtoB企業におけるMAツールデータ活用によるリードナーチャリング

あるITソリューションを提供するBtoB企業では、MAツールで獲得したリード(見込み客)のWebサイト閲覧履歴やメール開封・クリック履歴を分析。関心度の高いトピックや検討段階を推定し、それに応じて送るメールコンテンツや営業アプローチのタイミングをパーソナライズした。結果、商談化率が向上し、営業効率の改善に繋がった。

 事例3:広告配信におけるリアルタイムデータ活用による効果最適化

ある旅行代理店では、Webサイトの閲覧データや検索データをリアルタイムで広告配信プラットフォーム(DSPやAds Omniのようなサービス)と連携。ユーザーが関心を持っている旅行先やプランに合わせて、動的に最適な広告クリエイティブを表示するようにした。結果、広告のクリック率(CTR)と予約コンバージョン率が大幅に向上し、広告費用対効果(ROAS)が改善された。

これらの事例のように、データを活用することで、具体的な課題発見と効果的な施策実行が可能になります。

 データドリブンマーケティング実践上の注意点

データドリブンマーケティングは強力なアプローチですが、実践する上で注意すべき点もあります。

 注意点1:データ収集・分析基盤の整備 (ツール導入だけではダメ)

高機能なツールを導入するだけでは、データドリブンマーケティングは実現しません。どのようなデータを、どのように収集・統合し、誰がどのように分析・活用するのか、という全体的な基盤設計と運用体制の構築が必要です。

 注意点2:データ分析スキルの必要性 (人材育成・外部活用)

データを正しく解釈し、ビジネスに繋がるインサイトを導き出すためには、一定のデータ分析スキルが必要です。社内での人材育成を進めるか、専門知識を持つ外部パートナーやコンサルタントの協力を得ることも検討しましょう。

 注意点3:データプライバシーとセキュリティへの配慮

顧客データを扱う上で、個人情報保護法などの法令遵守はもちろん、データプライバシーへの配慮とセキュリティ対策は絶対条件です。データの取得・利用目的を明確にし、適切な管理体制を構築する必要があります。

 注意点4:「データのためのデータ分析」に陥らない (目的意識の重要性)

データ分析そのものが目的化してしまい、ビジネス成果に繋がらない「分析のための分析」に陥ってしまうことがあります。常に「何のために分析するのか」「その結果をどう活かすのか」という目的意識を持つことが重要です。

 まとめ:データと共に未来を切り拓くマーケティングへ

今回は、「データドリブンマーケティング」の基本から、メリット、実践ステップ、活用ツール・手法、事例、注意点までを解説しました。

勘や経験だけに頼るのではなく、客観的なデータに基づいて戦略を立て、施策を実行し、改善を繰り返していくデータドリブンなアプローチは、これからのマーケティング活動において不可欠な要素です。

「データ活用は難しそう…」と感じるかもしれませんが、最初から完璧を目指す必要はありません。まずは自社の目的を明確にし、比較的手軽に取得・分析できるデータ(例えばWebサイトのアクセスデータ)からデータドリブンマーケティングをスモールスタートしてみてはいかがでしょうか。小さな成功体験を積み重ねていくことが、組織全体にデータ活用の文化を根付かせる第一歩となります。

データドリブンマーケティングを実践し、その効果を最大化するためには、適切なツールの活用が欠かせません。ログリーが提供する『Audience Analytics』は、Webサイト上のユーザー行動データを詳細に分析し、顧客理解を深めるための強力なインサイトを提供します。さらに、そこで得られたデータを活用し、最適なターゲットに広告を配信できるプラットフォーム『Ads Omni』と連携することで、データ収集から分析、施策実行、効果測定までを一気通貫で支援し、より高度なデータドリブンマーケティングの実現をサポートします。データ活用によるマーケティング成果向上にご興味があれば、ぜひ詳細をご覧ください。

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マーケティング担当
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