ビューアビリティとは?デジタル広告の視認性を高め効果測定を改善する秘訣

2025年5月26日
マーケティング担当
Ads Context

「Web広告、ちゃんと表示されているはずなのに、期待したほどの効果が出ない…」

「インプレッション数は多いけれど、本当にユーザーに見てもらえているのだろうか?」

「ビューアビリティって言葉を最近聞くけど、一体何のこと?なぜ重要なの?」

デジタル広告を運用する中で、このような疑問や課題を感じているマーケティング担当者の方は少なくないでしょう。広告が配信され、インプレッションとしてカウントされたとしても、それが必ずしも「ユーザーの目に触れた」ことを意味するわけではありません。

そこで重要になるのが、「ビューアビリティ(Viewability:広告の視認性)」という考え方です。この記事では、「ビューアビリティとは何か?」という基本的な定義から、なぜそれが広告効果測定において重要な指標となるのか、計測の仕組み、業界標準、そしてビューアビリティを高めるための具体的な改善策まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。

この記事を読めば、デジタル広告の「本当に見られているか」という本質的な課題を理解し、広告費の最適化とキャンペーン効果の正確な把握に繋げるためのヒントが得られるはずです。

目次

 ビューアビリティとは?デジタル広告の「本当の見られ方」を知る

 ビューアビリティの定義:広告がユーザーの画面に表示され、視認可能な状態にあった割合やその状態

ビューアビリティ(Viewability)とは、配信されたデジタル広告が、実際にユーザーのデバイス画面に表示され、人間が視認できる状態にあったかどうか、またその割合を示す指標です。「広告視認性」とも訳されます。

従来の広告配信では、「インプレッション(広告の表示回数)」が主な指標の一つでしたが、インプレッションとしてカウントされた広告が、必ずしもユーザーの目に触れているとは限りませんでした。例えば、ページの下部に表示された広告が、ユーザーがそこまでスクロールせずに離脱してしまえば、広告は表示されたことにはなっても、実際には見られていないのです。

ビューアビリティは、このような「見られていない広告」を区別し、「本当に見られた広告」を評価するための重要な概念です。

 なぜ今、ビューアビリティが重要視されるのか?

ビューアビリティがデジタル広告業界で重要視されるようになった背景には、以下のような理由があります。

1.  広告費の無駄削減: 広告主にとって、見られていない広告に費用を支払うことは大きな無駄です。ビューアビリティを計測し、ビューアブルな(視認可能な)広告に投資を集中することで、広告費の最適化が図れます。

2.  正確な広告効果測定: 広告が実際に見られて初めて、ブランド認知やクリック、コンバージョンといった効果が期待できます。ビューアビリティを考慮することで、広告キャンペーンの効果をより正確に評価できるようになります。

3.  ブランドセーフティの向上: 意図しない、あるいは不適切なコンテンツと共に広告が表示されるリスクだけでなく、「そもそも見られていない」という状況も広告主にとっては問題です。ビューアビリティの確保は、ブランド価値を守る上でも重要です。

4.  広告取引の透明性向上: 広告主、媒体社、広告プラットフォーム間の広告取引において、ビューアビリティという共通の基準を持つことで、より透明性の高い取引が期待できます。

 インプレッションだけでは分からない「広告の質」

従来のインプレッション数は、あくまで「広告が配信サーバーからリクエストされ、表示処理が開始された回数」を示すものが多く、ユーザーが実際に広告を目にしたかどうかまでは保証していませんでした。

ビューアビリティは、このインプレッションの「質」を問い直すものです。「どれだけ表示されたか」だけでなく、「どれだけ実質的に見られたか」という視点を取り入れることで、より本質的な広告効果の議論が可能になります。

 インプレッション課金のデメリットとビューアビリティ

多くのディスプレイ広告で採用されているインプレッション課金(CPM課金)は、広告が表示されるたびに費用が発生するモデルです。しかし、その「表示」がビューアブルでなければ、広告主は効果のない広告に費用を支払っていることになります。これがインプレッション課金の大きなデメリットの一つです。

ビューアビリティの概念が普及したことで、ビューアブルなインプレッションに対してのみ課金する「vCPM(Viewable Cost Per Mille)」といった課金モデルも登場し、広告取引のあり方に変化をもたらしています。

 ビューアビリティ計測の仕組みと業界標準

では、広告のビューアビリティはどのように計測されるのでしょうか?また、どのような基準で「見られた」と判断されるのでしょうか?

 どうやって計測する?

ビューアビリティの計測は、主に広告に埋め込まれた特殊な計測タグ(JavaScriptなど)やSDK(Software Development Kit:ソフトウェア開発キット)、広告サーバー間のAPI連携などによって行われます。これらの技術を用いて、広告クリエイティブがブラウザの表示領域に入ったかどうか、表示されていた時間などをリアルタイムで判定します。

 業界標準となるビューアビリティの定義

ビューアビリティの定義や計測方法については、国際的な業界団体であるMRC(Media Rating Council)やIAB(Interactive Advertising Bureau)などがガイドラインを策定しており、これらが事実上の業界標準となっています。

一般的に、ディスプレイ広告(バナー広告など)におけるビューアブルインプレッションの基準は、以下のように定義されています。

 広告ピクセルの50%以上が、画面に1秒以上連続して表示されること

この基準を満たした場合に、「1ビューアブルインプレッション」としてカウントされます。

 動画広告におけるビューアビリティ基準

動画広告の場合は、静止画広告とは異なる基準が用いられることが一般的です。MRCやIABのガイドラインでは、以下のような基準が示されています。

 広告ピクセルの50%以上が、画面に2秒以上連続して再生されること

ただし、動画広告のフォーマットや目的(ブランド認知、視聴完了など)によっては、より厳しい基準(例:100%表示で視聴完了)が求められることもあります。

 アクティブビューとは? (Googleのビューアブルインプレッション指標)

Googleは、独自のビューアブルインプレッション測定技術として「アクティブビュー(Active View)」を提供しています。これはMRCの認定を受けており、Googleの広告プラットフォーム(Google広告、DoubleClickなど)で広く利用されています。アクティブビューの基準も、上記のMRC/IAB標準に準拠しています。

 ビューアビリティが低い広告の主な原因

広告のビューアビリティが低くなってしまう主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。

 原因1:ページ下部など、ユーザーがスクロールしない位置への掲載

Webページの中でも、ユーザーが実際に目にする領域(ファーストビューなど)と、スクロールしなければ見えない領域があります。ページの下部やサイドバーの奥深くに広告が配置されている場合、ユーザーがそこまで到達せずに離脱してしまうと、広告は見られません。

 原因2:ページの読み込み速度が遅く、広告が表示される前に離脱

Webページの表示速度が遅いと、ユーザーは広告が表示されるのを待たずにページを閉じてしまったり、別のページに遷移してしまったりする可能性があります。

 原因3:複数の広告が密集し、視認性が低下

1ページ内にあまりにも多くの広告が掲載されていると、個々の広告がユーザーの注意を引きにくくなり、結果として視認性が低下することがあります。

 原因4:広告サイズやフォーマットが不適切

表示されるデバイス(PC、スマートフォンなど)や掲載面のレイアウトに対して、広告のサイズやフォーマットが適切でない場合、広告の一部しか表示されなかったり、デザインが崩れてしまったりして、ビューアビリティ基準を満たせないことがあります。

 原因5:不正なトラフィック(アドフラウド)による非視認インプレッション

ボットなどの不正なプログラムによって生成された、人間が見ていないインプレッション(アドフラウド)も、ビューアビリティを低下させる大きな要因です。

 ビューアビリティを高めるための具体的な改善策

ビューアビリティを高め、広告効果を向上させるためには、以下のような改善策が考えられます。

 改善策1:掲載位置の最適化

広告の掲載位置はビューアビリティに最も大きな影響を与える要素の一つです。一般的に、ページのファーストビュー(スクロールせずに最初に見える範囲)に近い位置や、コンテンツ本文の間に自然に配置される広告はビューアビリティが高くなる傾向があります。ただし、ユーザーの閲覧体験を過度に妨げない配慮も必要です。

 改善策2:ページの表示速度改善

画像の最適化、不要なスクリプトの削減、サーバーの応答速度向上など、Webページ全体の表示速度を改善することで、広告が表示される前にユーザーが離脱するのを防ぎます。

 改善策3:広告フォーマットの見直し

レスポンシブ広告(様々な画面サイズに合わせて自動的に表示が最適化される広告)の活用や、掲載面に適した広告サイズ・フォーマットの選択が重要です。ネイティブ広告のように、コンテンツと調和するフォーマットもビューアビリティ向上に貢献します。

 改善策4:遅延読み込み(Lazy Loading)の活用

ページ内の画像や広告を、ユーザーがその表示領域に近づくまで読み込みを開始しない「遅延読み込み(Lazy Loading)」技術を活用することで、ページの初期表示速度を向上させ、ビューアビリティ改善に繋げることができます。

 改善策5:アドフラウド対策の導入

アドフラウド対策ツールを導入したり、アドベリフィケーション(広告掲載先の品質検証)機能を持つプラットフォームを利用したりすることで、不正なインプレッションを排除し、ビューアブルな広告配信の比率を高めることができます。

 改善策6:ビューアブルインプレッション課金(vCPM)の活用検討

広告取引において、ビューアブルインプレッションに対してのみ課金が発生するvCPM(Viewable Cost Per Mille)というモデルを選択することも、広告費の無駄をなくし、ビューアビリティの高い広告枠への投資を促す上で有効です。

 ビューアビリティが広告効果測定と取引に与える影響

ビューアビリティは、単なるテクニカルな指標ではなく、広告効果測定のあり方や広告取引全体に大きな影響を与えています。

 ビューアビリティを広告効果測定の重要な指標の一つとして捉える

従来のインプレッション数やクリック数に加え、ビューアブルインプレッション数やビューアビリティ率も広告効果測定における重要な指標としてKPIに設定し、定期的にモニタリングすることが求められます。これにより、キャンペーンの真のリーチや広告クリエイティブの視認性を評価できます。

 ビューアブルインプレッションに基づく広告取引の普及

広告主の間でビューアビリティへの意識が高まるにつれ、ビューアブルインプレッションを基準とした広告取引(vCPMなど)が普及しつつあります。これにより、広告主はより安心して広告予算を投下できるようになり、媒体社側も質の高い広告枠を提供することへのインセンティブが働きます。

 広告主、媒体社、広告プラットフォームそれぞれの視点でのビューアビリティの価値

 広告主: 広告費の透明性と費用対効果の向上、ブランド認知効果の正確な把握。

 媒体社: 質の高い広告枠の価値向上、広告収益の最大化。

 広告プラットフォーム: 信頼性の高い広告配信環境の提供、業界標準への準拠。

ビューアビリティは、広告エコシステム全体にとって価値のある指標と言えます。

 まとめ:ビューアビリティを意識した広告運用で真の成果を追求しよう

今回は、デジタル広告における「ビューアビリティ(広告視認性)」の重要性、その定義や計測方法、低い場合の原因と改善策、そして広告効果測定への影響について解説しました。

広告が単に「表示された」だけでなく、「実際にユーザーに見られた」かどうかを測るビューアビリティは、広告費の最適化とキャンペーン効果の正確な把握、そして広告取引の透明性向上に不可欠な指標です。インプレッション課金のデメリットを補い、実際にユーザーの目に触れたアクティブビューなどを重視する考え方は、今後のデジタル広告運用においてますますスタンダードとなるでしょう。

デジタル広告のビューアビリティ(広告視認性)は、広告効果測定における重要な指標であり、無駄な広告費を削減し、真の成果を追求するために不可欠です。インプレッション課金のデメリットを補い、実際にユーザーに見られた広告(アクティブビューなど)を重視する考え方は、今後の広告運用においてますます重要になるでしょう。ログリーが提供する広告運用プラットフォーム『Ads Omni』やネイティブ広告プラットフォーム『AdsContext』では、広告が実際にユーザーの目に触れる機会を最大化し、その効果を正確に把握するための取り組みを支援しています。ビューアビリティとは何かを正しく理解し、広告効果の向上を目指すなら、ぜひ詳細をご覧ください。

関連プロダクト「AdsOmni」へのリンクはこちら

関連プロダクト「AdsContext」へのリンクはこちら

著者紹介
マーケティング担当
マーケティング担当