ダイナミックリターゲティングとは?ダイナミックリターゲティング広告の効果的な設定とクリエイティブのポイント

2025年6月23日
マーケティング担当
Ads Omni

「せっかくサイトに来てくれたお客様が、何も買わずに離れていってしまう…」

「もう一度、閲覧した商品を思い出してもらって購入に繋げたい!」

「ECサイトの広告を最適化したいけど、どうすればリターゲティングの効果を最大化できるの?」

Webサイトを訪れたものの、商品を購入せずに離脱してしまったユーザーに、もう一度アプローチして購入を促す「リターゲティング広告」は、Web広告の中でも特にコンバージョン率が高いことで知られています。中でも、ユーザーの過去の行動に合わせてパーソナライズされた広告を自動生成・配信する「ダイナミックリターゲティング広告」は、その効果をさらに高める強力な手法です。

この記事では、「ダイナミックリターゲティングとは何か?」という基本から、その仕組み、効果的な設定方法(商品フィード広告の準備やオーディエンスセグメント設定)、そしてコンバージョンを高めるクリエイティブのポイント、導入事例まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。

この記事を読めば、購買意欲の高いユーザーに最適なタイミングでアプローチし、ECサイトの広告効果を最大化するための具体的なヒントが得られるはずです。

目次

 ダイナミックリターゲティング広告とは?【パーソナライズ広告の基本】

 定義:ユーザー行動に基づきパーソナライズされた広告を自動配信

ダイナミックリターゲティング広告とは、Webサイト訪問者が過去に閲覧した特定の商品や、興味を示したサービス、カートに入れたまま購入に至らなかった商品などに基づいて、そのユーザー一人ひとりにパーソナライズされた広告クリエイティブを自動生成し、再配信する広告手法です。

例えば、あるECサイトでスニーカーAとTシャツBを閲覧したユーザーには、そのスニーカーAとTシャツBの広告が自動的に生成され、他のWebサイトやSNSを閲覧中に表示される、といった仕組みです。

 なぜ今、動的リターゲティング広告が注目されるのか?

動的リターゲティング広告が注目される背景には、以下のような理由があります。

1.  高いパーソナライゼーション: ユーザーの過去の具体的な行動(閲覧・検討した商品など)に基づいて広告内容が最適化されるため、ユーザーにとって「自分ごと」として受け止められやすく、広告の関連性が非常に高まります。

2.  購買意欲の喚起: すでに興味を示した商品やサービスをもう一度提示することで、ユーザーの購買意欲を再燃させ、購入の後押しとなります。

3.  広告運用の効率化: 広告クリエイティブをユーザーごとに手動で作成する必要がなく、システムが自動生成するため、広告運用の手間を大幅に削減できます。

 通常のリターゲティング広告との違い

リターゲティング広告は、一度サイトを訪れたユーザーを追跡して広告を配信する手法全般を指します。その中でも、ダイナミックリターゲティング広告は、以下の点で通常のリターゲティング広告と異なります。

 通常の(静的)リターゲティング広告:

     広告クリエイティブは事前に作成された固定のものです。

     特定のページを訪れたユーザーセグメントに対して、同じメッセージやキャンペーンの広告を表示します。

     例:「以前サイトを訪れた人に、全品10%OFFの広告を表示する」

 ダイナミックリターゲティング広告:

     広告クリエイティブがユーザーの行動(閲覧商品など)に応じて動的に生成されます。

     例:「閲覧したスニーカーA」や「カートに入れたままのTシャツB」の画像と情報が広告として表示される。

つまり、ダイナミックリターゲティングは、よりパーソナルで具体的な広告表示を実現できる、リターゲティング広告の進化形と言えます。

 ダイナミックリターゲティングの仕組みと主要要素

ダイナミックリターゲティングがどのように機能するのか、その仕組みを構成する主要な要素を見ていきましょう。

 商品フィード(データフィード)とは?その役割と準備

商品フィード(またはデータフィード)は、ダイナミックリターゲティング広告を配信するために不可欠な、商品やサービスに関する詳細な情報が記述されたデータファイルです。ECサイトであれば、サイト内の全ての商品データ(商品名、価格、画像URL、商品URL、商品説明、在庫状況など)が含まれます。

 役割: 広告配信プラットフォームが、このフィード情報を参照して、ユーザーの閲覧履歴に基づいて適切な商品を広告クリエイティブに自動で表示します。

 準備: Google Merchant Centerのフィード仕様や、各広告プラットフォームのフィード仕様に合わせて、正確かつ最新の情報を常に提供できるよう準備・更新する必要があります。商品の追加や削除、価格変更などがリアルタイムに反映されるように連携することが理想です。

 サイトタグ(ピクセル)とオーディエンスリスト

ダイナミックリターゲティングを行うためには、Webサイトに特定のトラッキングコード(サイトタグやピクセルと呼ばれるJavaScriptコード)を設置する必要があります。

 サイトタグの役割: ユーザーがサイトを訪問し、特定の商品ページを閲覧したり、カートに追加したりといった行動を記録します。このデータが、ユーザーごとに「どの商品に興味があるか」を把握するための元情報となります。

 オーディエンスリスト: サイトタグで収集された行動データに基づき、「過去〇日以内に〇〇カテゴリの商品を閲覧したユーザー」「カートに商品を入れたまま離脱したユーザー」「特定のページを2回以上訪れたユーザー」といったオーディエンスセグメント(リスト)が自動的に作成されます。これらのリストをターゲットとして広告を配信します。

 広告配信プラットフォームの役割

商品フィードとサイトタグで収集されたデータは、Google広告(Google Merchant Center)、Facebook広告、各種DSP(DemandSide Platform)、そしてAds Omniのような統合広告運用プラットフォームなど、広告配信プラットフォームに連携されます。

プラットフォームは、これらの情報をもとに、オーディエンスリストに登録されたユーザーが他のWebサイトやSNSなどを閲覧中に、パーソナライズされた広告クリエイティブを自動生成し、表示する役割を担います。

 ダイナミックリターゲティング広告のメリット

ダイナミックリターゲティング広告を導入することで、以下のようなメリットが期待できます。

 メリット1:高いコンバージョン率と費用対効果

すでに商品やサービスに興味を示したユーザーに対してアプローチするため、広告の関連性が非常に高く、コンバージョン(購入や問い合わせ)に繋がりやすい傾向があります。結果として、通常の広告よりも高いコンバージョン率と費用対効果(ROI)が期待できます。

 メリット2:パーソナライズされた顧客体験の提供

ユーザー一人ひとりの行動に基づいた最適な情報を提供できるため、広告が「押し付け」ではなく「役立つ情報」として受け取られやすくなります。これにより、顧客体験(CX)の向上にも貢献します。

 メリット3:広告運用の手間を削減

商品フィード広告の特性を活かし、クリエイティブの自動生成が可能です。何百、何千という商品があっても、一つひとつ広告バナーを作成する必要がなく、運用にかかる時間とコストを大幅に削減できます。

 メリット4:ECサイトの広告最適化に特に有効

多種多様な商品を扱うECサイトにおいて、ユーザーがどの商品に興味があるかをピンポイントで捉え、最適な商品を提示できるダイナミックリターゲティング広告は、ECサイトの広告最適化に極めて有効な手法です。

 効果を高める!ダイナミックリターゲティング広告の設定ポイント

ダイナミックリターゲティング広告の効果を高めるためには、適切な設定が不可欠です。

 ポイント1:質の高い商品フィード(データフィード)を準備する

広告に表示される商品情報は全て商品フィードから取得されます。

 正確性: 商品名、価格、在庫状況、画像URLなどが正確であること。

 鮮度: 商品情報が常に最新の状態に保たれていること(価格変更や在庫切れが即座に反映されるように連携)。

 網羅性: 広告表示させたい商品がすべてフィードに含まれていること。

 情報量: 商品の説明、カテゴリ、ブランドなどの情報が充実していること。

フィードの質が低いと、誤った情報が広告に表示されたり、機会損失に繋がったりする可能性があります。

 ポイント2:詳細なオーディエンスセグメントを設定する

ユーザーの行動履歴に基づいたオーディエンスセグメントを細かく設定し、それぞれのセグメントに合わせたメッセージを配信することが効果的です。

 閲覧のみ: 特定の商品を見たが、カートに入れなかったユーザー

 カート放置: カートに商品を入れたが、購入に至らなかったユーザー

 購入済み: 既に商品を購入したユーザー(別の商品やアップセルを提案)

 特定カテゴリ閲覧: 特定のカテゴリの商品を閲覧したユーザー

これらのセグメントに対して、異なる広告クリエイティブやオファーを出し分けることで、コンバージョン率を高めることができます。

 ポイント3:広告配信の頻度(フリークエンシーキャップ)を最適化する

同じユーザーに同じ広告が繰り返し表示されすぎると、広告疲弊(広告飽き)やブランドイメージの低下に繋がります。適切なフリークエンシーキャップ(1ユーザーあたりの広告表示回数上限)を設定し、ユーザー体験を損なわないように配慮しましょう。

 ポイント4:除外リストを適切に設定する

一度商品を購入したユーザーに、その商品の広告を繰り返し表示するのは無駄な広告費となります。購入済みユーザーを広告の除外リストに設定することで、効率的な広告運用が可能です。同様に、問い合わせを完了したユーザーなども除外対象としましょう。

 コンバージョンを高めるクリエイティブのコツ

ダイナミックリターゲティング広告は、クリエイティブが自動生成されるからといって、デザインやコピーを疎かにしてはいけません。コンバージョンを高めるためのクリエイティブのコツをご紹介します。

 コツ1:パーソナライズ感を強調したデザイン

ユーザーが「これは自分向けだ」と感じるようなデザインを意識しましょう。単に商品画像を表示するだけでなく、ユーザー名や閲覧履歴に合わせたメッセージを動的に挿入できる機能があれば活用します。

 コツ2:魅力的なキャッチコピーと具体的なCTA

表示される商品やサービスに加えて、ユーザーの購買意欲を刺激するキャッチコピーや、次の行動を明確に促すCTA(Call to Action)は非常に重要です。

 「〇〇(閲覧した商品名)が今なら〇〇円!」

 「買い忘れはありませんか?カートの商品はこちら」

 CTA:「今すぐ購入」「再度確認する」「詳細を見る」など。

 コツ3:静止画・動画・カルーセルなどのフォーマット選定

多くのプラットフォームでは、単一の画像だけでなく、動画広告やカルーセル形式(複数の商品をスライド表示)など、多様なフォーマットでダイナミックリターゲティング広告を配信できます。商品の特性やターゲットユーザーの行動に合わせて最適なフォーマットを選びましょう。

 コツ4:A/Bテストで常に最適化

商品フィードの情報は共通でも、広告のデザインテンプレート、コピーの文言、CTAの色や形などを複数パターン作成し、A/Bテストを実施して最も効果の高いクリエイティブを見つけ出しましょう。テスト結果に基づき、継続的にクリエイティブを改善していくことが重要です。

 ダイナミックリターゲティング広告の成功事例

ダイナミックリターゲティング広告を導入し、ECサイトの広告最適化に成功した事例を見ていきましょう。(一般的な活用例です)

 事例1:ECサイトにおけるカート放棄ユーザーへのアプローチ

あるアパレルECサイトでは、商品がカートに入ったまま離脱したユーザーに対し、その商品画像と「買い忘れはありませんか?」というメッセージを添えたダイナミックリターゲティング広告を配信。さらに、期間限定の「送料無料」オファーを提示したところ、カート放棄ユーザーの約15%が購入を完了し、売上向上に大きく貢献しました。

 事例2:多種多様な商品を扱うメディアECの活用事例

書籍や雑貨など、幅広いカテゴリの商品を扱うECサイトがダイナミックリターゲティング広告を導入。ユーザーが閲覧した商品のカテゴリや関連商品を自動的に広告に表示することで、サイトへの再訪問と回遊を促しました。結果、広告経由のCVRが以前のリターゲティング広告よりも20%以上改善しました。

 事例3:旅行予約サイトでの離脱ユーザーへの再アプローチ

旅行予約サイトで、特定の旅行先や宿泊施設を閲覧したが予約に至らなかったユーザーに対し、その旅行先や施設の画像・料金情報を盛り込んだダイナミックリターゲティング広告を配信。ユーザーが閲覧した日程の空室状況をリアルタイムで反映させることで、予約を迷っていたユーザーの再訪とコンバージョンに繋がりました。

 ダイナミックリターゲティング導入時の注意点

ダイナミックリターゲティング広告を導入する上で、いくつかの注意点があります。

 注意点1:商品フィードの正確性とリアルタイム性

商品フィードの情報が古かったり、誤っていたりすると、広告に誤った情報が表示され、ユーザーに不信感を与えたり、機会損失に繋がったりします。商品の在庫状況や価格変更などがリアルタイムに反映されるようなシステム連携が理想です。

 注意点2:プライバシー保護とCookie規制への対応

ダイナミックリターゲティングは、ユーザーの行動履歴を利用するため、プライバシー保護に関する規制(個人情報保護法、GDPRなど)への対応が重要です。また、サードパーティCookieの規制強化により、広告プラットフォーム側もCookieに依存しない代替技術への対応を進めています。

 注意点3:ユーザー体験を損なわないフリークエンシー管理

同じユーザーに同じ広告が頻繁に表示されすぎると、ユーザーは「しつこい」「見られている」と感じ、不快感や嫌悪感を抱く可能性があります。広告配信の頻度(フリークエンシーキャップ)を適切に設定し、ユーザー体験を損なわないように配慮することが重要です。

 注意点4:広告管理画面の最適化と運用ノウハウ

ダイナミックリターゲティングは自動化されている部分が多いですが、その設定や最適化には、広告管理画面の理解や運用ノウハウが必要です。特に、オーディエンスセグメントの設計や、クリエイティブのA/Bテストは継続的な改善のために不可欠です。

 まとめ:ダイナミックリターゲティングでECサイト広告を最適化し成果を最大化

今回は、「ダイナミックリターゲティングとは何か」という基本から、その仕組み、メリット、商品フィード広告の準備、設定ポイント、コンバージョンを高めるクリエイティブのコツ、そしてECサイト 広告最適化に繋がる事例までを解説しました。

ダイナミックリターゲティング広告は、購買意欲の高いユーザーにパーソナライズされた広告を届けることで、高いコンバージョン率と費用対効果を実現できる強力な広告手法です。特にECサイトの売上向上には欠かせない戦略の一つと言えるでしょう。

ECサイトの広告を最適化し、成果を最大化するためには、本記事で紹介した設定ポイントやクリエイティブのコツを実践することが重要です。ログリーが提供する統合広告運用プラットフォーム『Ads Omni』は、ダイナミックリターゲティング広告の配信を効率化し、精度の高いターゲティングで広告効果を最大化するための基盤を提供します。

Ads Omniのようなプラットフォームを活用することで、煩雑な商品フィードの管理やオーディエンスセグメントの設定、そして効果測定までを一元的に行い、動的リターゲティング広告の運用を効率化できます。ECサイトの広告効果を飛躍的に向上させたいとお考えなら、ぜひAds Omniの詳細をご覧ください。

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