オフライン広告の効果測定は可能か?デジタルデータと連携する新しい計測手法

「高額なテレビCM、本当に効果があったのか見えにくい…」
「Web広告のデータは分かるけど、オフライン広告とどう比較すればいい?」
「デジタルとオフラインの広告効果を統合的に測定したい!」
デジタル広告の運用が主流となる中で、その効果測定は日々進化しています。しかし、テレビCM、ラジオ広告、交通広告、新聞広告といったオフライン広告の効果測定は、「なんとなくブランド認知に効いているはず」といった感覚的な評価に留まりがちで、その費用対効果(ROI)の可視化は難しいという課題がありました。
この記事では、オフライン広告の効果測定は本当に可能なのかという疑問に答え、デジタルデータと連携させることでその効果を「見える化」するための新しい計測手法を解説します。Webサイトのアクセス変動、アプリダウンロード数の推移、位置情報データ、CRMデータとの連携、マーケティングミックスモデリング(MMM)など、オフライン広告の効果を統合的に計測するための実践的なノウハウを紹介します。
この記事を読めば、デジタルとオフラインの垣根を越えた広告効果の可視化を実現し、マーケティング戦略全体を最適化するための具体的なヒントが得られるはずです。
目次
オフライン広告の効果測定はなぜ難しいのか?【課題の整理】
課題1:ユーザーの行動を追跡しにくい(ラストタッチが不明瞭)
デジタル広告では、ユーザーが広告をクリックし、Webサイトに訪問し、コンバージョンに至るまでの一連の行動を追跡できます。しかし、オフライン広告では、ユーザーがCMを見てWebサイトを訪れたとしても、そのきっかけがCMであったことを直接的に特定することが困難です。結果として、広告効果の貢献度を評価しにくくなります。
課題2:デジタル広告との比較が難しい(指標が異なる)
デジタル広告では「クリック率」「コンバージョン率」「CPA(顧客獲得単価)」といった定量的な指標が豊富に存在しますが、オフライン広告では「広告接触率」「広告想起率」といった、異なる指標が用いられることが多く、両者の費用対効果を同一の土俵で比較することが難しいという課題があります。
課題3:多岐にわたる要因の影響
テレビCM効果測定を例にとると、CM放送の前後で売上が変動したとしても、それがCMの効果なのか、同時期に行われたWeb広告や店頭販促キャンペーン、あるいは競合の動向や季節要因、ニュースなど、他の様々な要因によるものなのかを切り分けるのは容易ではありません。
デジタル連携でオフライン広告の効果を見える化する方法
これらの課題を解決し、オフライン広告の効果測定を可能にするのが、広告効果のデジタル連携です。Webサイトやアプリ、顧客データといったデジタル資産とオフライン広告を紐づけることで、これまで見えなかった効果を可視化できます。
方法1:Webサイトアクセス変動分析
テレビCMやラジオ広告の放送直後、あるいは新聞広告の掲載直後のWebサイトへのアクセス数の変動を分析します。特定の時間帯や期間に、Webサイトへの直接訪問数やブランド名での検索流入数が急増していれば、オフライン広告が認知獲得に貢献した可能性が高いと推測できます。
方法2:アプリダウンロード数・検索キーワードの分析
テレビCMや雑誌広告にアプリダウンロードを促すメッセージを入れた場合、その掲載期間中のアプリダウンロード数の推移を追跡します。また、サービス名や製品名での指名検索キーワードの検索数が増加していれば、広告がユーザーの興味を喚起した証拠と見なすことができます。
方法3:ユニークなURLやQRコード、電話番号の活用
オフライン広告に、その広告専用のユニークなURLやQRコード、あるいは電話番号を記載することで、どこからWebサイト訪問や問い合わせがあったかを直接的に測定できます。これにより、広告ごとの効果を明確に区別して把握できます。
方法4:位置情報データとの連携
交通広告や店頭のデジタルサイネージ広告などの効果測定に位置情報データを活用します。広告に接触したと推測されるユーザーの来店状況を分析することで、オフライン広告が実店舗への集客にどれだけ貢献したかを可視化できます。
方法5:CRMデータとの連携
オフライン広告に接した顧客情報(例:展示会で獲得した名刺情報)と、Webサイトでの行動履歴や購買履歴といったデジタルデータをCRMツールで連携・統合し、その後の顧客の行動やLTV(顧客生涯価値)を追跡することで、オフライン施策の貢献度を長期的な視点から評価できます。
【主要チャネル別】オフライン広告の効果測定手法
オフライン広告の効果測定は、チャネルごとに適した手法があります。
テレビCM効果測定の具体的な手法
テレビCM効果測定は、高額な投資であるため特に重要視されます。
Webサイトアクセス数の急増分析:CMが放送された時間帯のWebサイトへの直接アクセス数や指名検索数を分析。
ブランドリフト調査:CMに接触した視聴者と非接触の視聴者を比較し、ブランド認知度や好意度、購入意向の変化をアンケート形式で測定。
モデル分析:MMM(後述)などの手法で、CMの放送量と売上、Webサイトトラフィックの関係性を分析。
ラジオ広告効果測定の具体的な手法
ラジオ広告効果は、聴取者の行動をWebサイトに誘導することで測定可能です。
特定のURLやキャンペーンコードの利用:広告内で「〇〇で検索!」「キャンペーンコード△△を入力」と促す。
放送時間帯別のWebサイトトラフィック分析:ラジオCMの放送時間帯に、Webサイトのトラフィックがどう変動したかを分析。
交通広告・OOH広告の効果測定手法
特定のQRコードやURLの利用:広告内にQRコードやキャンペーン専用のURLを記載し、そのアクセス数を測定。
位置情報データによる来店分析:位置情報データ分析ツールを活用し、広告掲出エリアを通過したユーザーが、その後実店舗に来店したかどうかを測定。
複数のチャネルを統合する「マーケティングミックスモデリング(MMM)」
MMMとは?(オフラインとオンラインを統合的に分析)
マーケティングミックスモデリング(MMM:MarketingMixModeling)は、テレビCMやWeb広告、販促、価格、競合動向など、様々なマーケティング活動や外部要因が売上に与えた影響を統計的に分析する手法です。
MMMは、デジタル広告とオフライン広告の垣根を越え、マーケティング活動全体の貢献度を評価できる点が最大の特徴です。
MMMで何がわかるか?
各チャネルの貢献度:テレビCMが売上に何%貢献したか、Web広告が何%貢献したかなどを定量的に把握できます。
ROI(投資対効果):各チャネルの費用対効果を客観的に比較できます。
最適な予算配分:分析結果に基づいて、来期はどのチャネルにどれくらいの予算を配分すれば売上やROIが最大化するかをシミュレーションできます。
統合マーケティング計測のメリット
MMMなどの手法で統合マーケティング計測を行うメリットは、
部分最適から全体最適へ:個々の施策の最適化だけでなく、マーケティング活動全体での最適化が可能になる。
客観的な意思決定:勘や経験ではなく、データに基づいた広告予算配分や戦略立案が可能になる。
マーケティングROIの最大化:費用対効果の低いチャネルへの投資を見直し、高いチャネルに集中させることで、ROIを最大化できる。
オフライン広告の効果測定を成功させるためのステップ
ステップ1:KGI/KPIの明確化
何を達成したいのか(KGI)と、その達成度を測るための指標(KPI)を、オフライン施策を含めて明確に設定します。
ステップ2:データ収集・連携基盤の整備
Webサイトアクセスデータ、CRMデータ、広告プラットフォームのデータなどを一元的に管理・分析できる基盤を整備します。
ステップ3:分析と仮説検証
収集したデータをMMMやアクセス変動分析などの手法で分析し、施策の効果に関する仮説を検証します。
ステップ4:施策への反映とPDCA
分析結果に基づき、広告予算配分の見直しや次の施策を立案し、実行。その効果を再度測定・評価するPDCAサイクルを回し続けます。
まとめ:オフライン広告の効果を見える化し、マーケティング戦略全体を最適化しよう
今回は、オフライン広告効果測定の課題と、広告効果をデジタル連携で可視化する新しい手法について解説しました。
テレビCM効果測定やラジオ広告効果は、もはや不可能ではありません。WebサイトのアクセスデータやCRMデータ、統合マーケティング計測手法であるMMMなどを活用することで、その効果を定量的に把握し、デジタル広告と横断的に評価できます。
オフライン広告効果測定の課題は、広告効果をデジタル連携させることで解決できます。ログリーが提供する統合広告運用プラットフォーム『AdsOmni』は、デジタル広告の運用とデータ管理を一元化し、オフライン施策の効果を測定するためのデータ基盤の一部となります。また、『AudienceAnalytics』は、Webサイトのアクセスデータを詳細に分析し、オフライン施策がWebサイトへ与えた影響を可視化します。これらのソリューションを連携させることで、デジタルとオフラインの垣根を越えた統合マーケティング計測を実践し、マーケティングROIを最大化したいとお考えなら、ぜひ詳細をご覧ください。